コワーキングスペースの過去と現状と今後について
こんにちは。コワーキングスペース7F運営代表者の星野邦敏です。
早いもので、私自身のコワーキングスペースの運営も2012年から、5年目になりました。
この約5年間で、コワーキングスペースという空間の姿形、役割、運営者や運営企業、利用者も、随分と変化してきたように思います。また、コワーキングスペースの運営側視点で見学に来る人や会社や行政の質問内容なども変わりつつあるように運営者として感じています。
ここでは、偶然にも黎明期から見てきて、自分でも実際に運営を始め、今も残っているコワーキングスペースの運営者としまして、コワーキングスペースの移り変わりとして、個人的に感じていることを書いてみようと思います。
なお、少し前の記事ですが、合わせて、茅場町のコワーキングスペース「Co-Edo」の田中さんが書いている、いわゆるコワーキングスペース世代論と言われている記事も合わせて読むと、他の人の視点も見えて良いかと思います。
コワーキングスペースを世代別に考えてみて想うこと
コワーキングスペースとは?
まずは、「コワーキングスペース」とは、オープンな作業スペース・集中できる半個室スペース・会議室・打ち合わせスペースなどを共有しながら、それぞれが独立した仕事を行う空間のことを言います。スペース利用は個々人でありながらも、利用者同士がコミュニケーションを取ることで、新たな仕事や活動が生まれていくような場所です。ただ黙々と作業するだけでなく、利用者同士でコミュニケーションが図れるという側面が、コワーキングスペースの特徴です。
コワーキングスペースは、もともとアメリカから始まった空間利用方法の1つですが、日本でも2010年あたりから浸透してきて、現在は日本国内に300〜400箇所近くあると言われています。
利用料は、月額会員は月1万円〜2万円、1日のみ利用は1日1000円〜2000円というのが相場です。また後述しますが、最近は大手企業やベンチャーキャピタルが無料で運営するコワーキングスペースも増えてきました。
コワーキングスペース業界の初期の頃(2010年〜2012年)
コワーキングスペースの日本での当初(2010年〜2012年)は、自宅の駐車場(ガレージ)の空きスペース、IT事業会社の一区画、飲食店の一区画など、既に空間を持っているけれども、有効に活用されていないスペースの活用でした。広さも30坪に満たない場所も多く、利用者もいわゆる面白い活動をしていることに集まるフリーランスの人や起業したての人やこれから起業をする人が多かったように思います。
私は自分でコワーキングスペース7Fを作る約5年前に、当時あった約30箇所の全国のコワーキングスペースを見て回りまして、動画撮影OKの場所はYouTubeにインタビュー含めて載せましたが(星野邦敏 – YouTube)、見て回った半分以上は閉店してしまいまして、既にありません。
黎明期あるあるだと思いますが、良くも悪くも体制が整っているところばかりではなく、その良さもあったとは思いますが、安定して利用していただく、という点では適していなかったのかもしれません。当初は素晴らしい理念や想いをひたすら語っていた人も、採算が合わず、徐々に事業として追い詰められて言っていることが変化していき、今はコワーキングスペース業界には関わりもしていない、という人もいました。そこで当時、やっぱり採算が合うことが前提で、「理想や想い」と「事業としての継続性」はセットだなと個人的には認識したことでもあります。
コワーキングスペース業界の普及時期(2012年〜2015年)
コワーキングスペースが増え始めてきた頃には、駅からは近いけれども築年数の経っているビルの空中階の空きテナントの有効活用として、メイン事業がある中で、コワーキングスペースの運営も行うという場所が増えました。例えば、自社がIT事業会社の場合はWebサービスを作る起業したての人やプログラマ・デザイナーなどのフリーランスが多く集まるコワーキングスペースに、自社が編集プロダクション会社の場合はライターが多く集まるコワーキングスペースに、という形です。私たちが埼玉県さいたま市の大宮駅東口徒歩1分の場所で運営している「コワーキングスペース7F」も母体は私が10年前に創業したIT事業会社ですしね。コワーキングスペース単体で空間としての採算を合わせるというよりは、中小企業として本業に必要な人と情報が集まる仕組みを作る、ということになります。この頃には50〜100坪前後の広さが主流になってきました。
(1)ビルオーナーからすれば空きテナントを埋められて、(2)コワーキングスペース運営者としても本業で必要な広さ以上の空間を借りつつ、オフィスフロアを収益化できて、かつ、本業にも活かせる、(3)利用者としても自分でオフィスを借りるよりは格安で、その上で現状が個人規模でも仕事や人脈の繋がりができやすい、という三方良しの形となりました。
一方で、大手不動産会社や鉄道会社や大手複合機メーカーも、コワーキングスペースを運営するようになりました。街づくりの一環としての仕事を呼び込むためのコワーキングスペース、オフィス設計のショールームも兼ねたコワーキングスペースなども増え始めました。広さも数百坪、ビル1棟がコワーキングスペース、という場所もあります。
また、オープンスペース中心のコワーキングスペースだけでなく、個室のシェアオフィスや貸会議室を併設する形も増えて、規模感も大きくなり、様々なビジネスシーンに対応できるような運営が増えてきました。運営による採算が合ってきた所はフロア増床や多店舗展開も進んでいます。利用者の想定としても、フリーランスや1人会社だけでなく、数人〜十数人の会社、また企業の支店としての活用も見られるようになりました。
現在の状況と今後の状況(2016年〜)
不動産の有効活用としてコワーキングスペースを運営するだけでなく、現在は、働き方の多様化が話題に上がり、リモートワークやテレワークなどの仕事の場として大手企業のサラリーマンがコワーキングスペースで働く取り組みも注目されています。また、オープンイノベーションの流れで外部の人材や情報を集めるために、大手企業が社内にコワーキングスペースを作ったり、大学内にコワーキングスペースを作ったりの流れもできてきました。
さらに、ベンチャーキャピタルが自社の投資先企業が自由に使えるコワーキングスペースを用意する流れもできています。より企業価値を高められるように、士業のメンターを用意したり、適材適所に人やモノや仕事を紹介して投資先企業のビジネスを大きくするような取り組みとなっています。
また、地方都市では、地方創生や地域活性化の流れから、人口減少を止めてUターンやIターンといった移住者を増やすために、産業の創出や雇用の確保として、コワーキングスペースの活用が話題に上がっています。仕事やスキルが共有できる場を作ることで、それぞれの経験を活かした交流やコラボレーションが生まれるとして、注目されています。
まとめ
このように、当初は既存施設や既存オフィスの一区画がコワーキングスペース、その後に、コワーキングスペース運営自体の事業化や採算性、本業への活用、などが注目され、現在は、働き方の多様化、リモートワーク・テレワーク、地域創生・地域活性化などのキーワードでコワーキングスペースが作られています。今後も共有オフィス空間として、都市部での需要、地方都市での需要と、使い分けながら、全国各地にコワーキングスペースが増えていくと、個人的には考えています。
というような内容の記事を、週刊ビル経営新聞さんのムック本「不動産ソリューションブック」にて寄稿させていただきました。まだ本は見ていないので、どのように載っているのか、または載っていないのかも分かりませんが、最新号も発売されたみたいなのでもし良かったら見てみてください。
このようなことを考えながら、今後何をしていくか?ということが事業者として大切かなと考えています。誤解を恐れずに言えば、今このタイミングで「コワーキングスペースの運営って採算は合いますか?収益性はどのくらいです?」みたいな質問は以前ならともかく今のタイミングでは1周遅れているわけです。私たちコワーキングスペース7Fも、コワーキングスペースの運営から始まり、フロア増床して、貸会議室6Fの運営、シェアオフィス6Fの運営、と来まして、近い日にもう1フロア増床する予定もあります。それは私たちの施設のハード面の話にはなりますが、その他にも、ソフト面のより一層の充実や、せっかく長いこと業界に関わっていまして知識も経験も人脈も現時点では日本でも随一に近い形になっているかと思いますのでコワーキングスペース業界というものがあるとしたらその業界に対して貢献できること、また、会社としてはIT事業、空間運営事業と来ましたので、新しい事業なども展開していきたいですね。
そのようなわけで、業務規模も売上も拡大しておりまして、直近で正式にまたスタッフ募集も始めようと思っています。まだ過去の求人募集ページのままですが、直近で正式に正社員スタッフ・アルバイトスタッフを募集開始しますので、ご興味ありましたら、ぜひチェック&ウォッチしていただけましたら幸いです。今後ともコワーキングスペース7Fをよろしくお願い致します。
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