創業60周年を迎えたクリーニング店「日之出商会」写真展を取材しました!

こんにちは。大宮駅東口でコワーキングスペース7F(ナナエフ)を運営する株式会社コミュニティコムによる地域メディア媒体「大宮経済新聞・浦和経済新聞」のライター・郡司です。

今年9月に創業60周年を迎えたクリーニング店「日之出商会」。今回は、10月から開催中の写真展「写真展で振り返る60年の歩み」を取材し、2代目代表取締役社長の古川清さんご夫妻にお話を伺いました。こちらでは、記事ではお伝えしきれなかったお話を編集後記としてご紹介します。

大宮経済新聞の掲載記事はこちらです。
上尾のクリーニング店「日之出商会」で写真展 60年の歩み振り返る
https://omiya.keizai.biz/headline/2044/

老舗クリーニング店「日之出商会」の始まり

創業者の茂さんは新潟県出身。今から72年前、1953(昭和28)年に集団就職列車で上京し、クリーニング師になりました。クリーニング師を選んだ理由は、「人の肌に触れるものを取り扱う仕事っていいな」と思ったことがきっかけだったそうです。茂さんは東京の店に勤めた後、1965(昭和40)年「日之出商会」(現在の上尾本店)を創業しました。写真を見ると、周辺はまだ区画整理もされておらず空き地に雑草が生い茂っていますが、当時は近隣に商店街があって人通りのあるお店には適した場所だったそうです。60年が経った現在、商店街はなくなってしまいましたが、同店は今も変わらず営業しています。

創業当時、道路はまだ整備されておらず周囲は草むらだった

小さい頃から「クリーニング屋さん」の一員 2代目・清さん

2代目社長の清さんが生まれたのは創業後。「小さい頃から、シーツをプレス機にかける時とか、毛布を畳む時とか、大人一人ではできない作業を子どもながら手伝っていた」と清さん。小さい頃から両親の仕事を手伝い、その時から既に「将来はクリーニング屋になるんだ」と考えていたそうです。高校卒業後「店の経営に役立つかもしれない」と簿記・情報処理関係の専門学校に進みます。そして2年間、東京のクリーニング店で研修生として修業した後「クリーニング師」の資格を取得して、父・茂さんの「日之出商会」に入社しました。

仕事を手伝う清さんの写真は無いのか尋ねると、「現代のように気軽に写真を撮れる時代じゃなかったから、ないね」と照れ臭そうな清さん

会社の「栄枯盛衰」~高度経済成長からコロナ禍を経て

「60年間、本当に色んな変化があった」と、清さんは振り返ります。会社は高度経済成長の波に乗り、一時は県中央部で30店舗まで拡大。主婦が自宅の一室をクローゼットにして開業したり、酒屋を営む傍らクリーニングの取り次ぎをしていたり、「受け渡しのみの小さな支店」が地域あちこちにあったそうです。当時は誰もが、スーツ、Yシャツを着て、ネクタイをしめていた時代。「Yシャツも自宅で洗う感覚がなく、質の良い服を買う方が多かった。衣替えの文化もあり、繁忙期は自分も両親も朝から晩まで働いていた」と清さんは言います。店内の棚に溢れんばかりに重ね置かれた洋服の写真が、それを物語ります。

熱心に手仕事をする先代夫妻の姿や、建物・機械の変化が写真に残されていた

バブル崩壊後、デフレの広がりと共に、アパレル業界は大きく変わり始めました。「ファストファッション」が流行し、「クリーニングにお金をかけるより新しい服に買い替えよう」と考える人が多くなりました。「おうちクリーニング」をうたう衣類用洗剤の進化や「洗濯機で洗えるスーツ・ウールセーター」などの開発で、ますますクリーニング店離れが進んでいきました。

2020(令和2)年、父・茂さんの跡を継ぎ、清さんが2代目社長に就任。そこへ、新型コロナの大流行。コロナ禍の外出制限、リモートワークへの切り替え。需要が減るとわかっていても、業界からは「衛生面を社会全体として保つために、店は変わらず開けておくこと」と通達があったそうです。「コロナ禍、売り上げはそれまでの5割程にまで落ちた」と清さんは言います。コロナ禍が明けてからもビジネススタイルが変わった影響は大きく、併せて燃料費の高騰が止まらず売り上げは赤字に。

30店舗あった支店は、「上尾本店」「桶川支店」「桶川マイン店」「騎西店」」の4店舗にまで減りました。

2代目の決意「お客様に『クリーニング職人の最新技術』をこれからも」

会社の規模を縮小して迎えた60周年。特に、清さんが2代目を継いだ令和の5年間は、試練続きだったといっても過言ではありません。清さんと妻の亜紀子さんは「本当に大変だった。それでもやってこられたのは、地域の皆さんのおかげ。感謝の気持ちでいっぱい」」と、穏やかに話します。

「クリーニングは、『衣食住』の『衣』を担う、絶対なくならない仕事。『サスティナブル』という言葉が流行っているが、洋服をクリーニングして長く楽しむことこそ『衣』のサスティナブル。そういったことを広く発信していくことも、クリーニング屋としての使命なのではないかと」

受け渡し時の仕上がりの説明も丁寧で、明るい笑顔にお客様ファンも多い亜紀子さん

清さんは、少しでも多くの要望に応えられる技術を身に着けるために、各地のクリーニング師仲間が集まる勉強会、その名も「新洗組(しんせんぐみ)」に参加し、常に技術を更新し続けているとのこと。薬品の調合も自社で行っているそうです。

「よそで断られたものでも、やれるところまで対応するのが同店のモットー。頑固な汚れやシミ、高級素材のクリーニングには定評があり、遠方からインターネットで調べて頼みに来てくださる方も居る。チェーン店のように安価に受け付けることはできないが、丁寧に手をかけて、価格に見合った技術を提供する。これからも、お客様に喜んでもらえる技術をもって、末永く店を続けていきたい」

真剣なまなざしでそう語る清さんと、その思いを支える亜紀子さん。「日之出商会」の歴史はこれからも続いていきます。

先代・古川茂さんと2代目・清さん親子

★写真展は2026年春ごろまで、「上尾本店」「桶川支店」「桶川マイン店」「騎西店」各店舗で開催予定。


クリーニング「日之出商会」 

上尾本店 〒362-0001 埼玉県上尾市上37-60

https://www.cleaning-hinode.com/


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