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台湾国慶節祝賀イベント「Let’s go 台湾」を取材し「布袋戯(ほていぎ)」を見てきました!

布袋戯で登場した悪役の人形

こんにちは!大宮経済新聞・浦和経済新聞ライターのジュンコです。
9月25日~30日にそごう大宮店で行われた台湾国慶節(こっけいせつ)祝賀イベント「Let’s go 台湾」の様子を取材してきました!記事ではお伝えしきれなかった部分をこちらでご紹介します。

▼大宮経済新聞記事はこちら
そごう大宮店で国慶節祝賀イベント「Let’s go台湾」 伝統芸能「布袋戯」上演も
https://omiya.keizai.biz/headline/1317/

「Let’s go 台湾」とは

「Let’s go 台湾」とは台湾の建国記念日である国慶節に合わせて台湾をPRするイベントです。主催は埼玉台湾総会で、今回で3回目です。9月25日~30日にそごう大宮店で開催され、物産販売や、台湾出身の歌手や劇団による歌や人形劇などの「伝統文化スペシャルステージ」が行われました。

この編集後記では28日と29日に「伝統文化スペシャルステージ」で上演された演目の1つ、伝統芸能の「布袋戯(ほていぎ)」について詳しくお伝えします。

…と言いますのも、取材当日、「布袋戯」の熱烈なファンらしき方々が最前列で熱心にステージをご覧になっている姿に、私はとても衝撃を受けました。

司会者の女性からインタビューを受けた彼女たちは「布袋戯が好きすぎて、人形まで持っている」と答えていました。彼女たちをこれほどまでに夢中にさせてしまう「布袋戯」とは一体何なのか、日・台・中のWebサイトから収取した情報も併せて、この取材後記で徹底解明したいと思います!

布袋戯の派手な幕
ど派手な極彩色の幕が舞台代わり… 「趙金統(ジャオ・ジントン)」は団長の名前です

そうそう、写真については、熱烈なファンの方々の後ろから間隙を見つけながら撮ったものなので、ブレていたり、小さすぎたりします。あしからず。

「布袋戯」とは

「布袋戯」は台湾の民間伝統芸能の1つで、「掌中戯(しょうちゅうぎ)」とも呼ばれる人形劇です。日本の「人形浄瑠璃」のようなものと言えば分かりやすいでしょうか。明代(1368~1644年)中期に中国の福建省で演じられていたものが、のちに台湾に伝わり独自の発展を遂げたそうです。

映画もテレビもなかった時代、旅回りの一座が演じる人形劇は人々にとって最高の娯楽だったことでしょう。埼玉台湾総会の皆さんも「縁日やお祭りでは必ず『布袋戯』が上演された。子どもの頃の楽しみといえばこれだった」とおっしゃっていました。『西遊記』や『三国志』を題材にした物語が演じられることが多かったようです。人形がくるくる回ったり、皿回しをしたり、まるで生きているかのようにコミカルで素早く動き回ります。

伝統的布袋戯
右側の人形は黄色い布を皿回しのように回しています

昔に比べると縁日やお祭りで演じられる機会は減ってきているそうです。「昔ながらの『布袋戯』という芸能がなくなってしまうのは寂しい」と埼玉台湾総会の皆さんもおっしゃっていました。とはいえ現在の台湾でも旅回り一座による上演は行われています。今回のイベントのために来日した「金宇園掌中劇団(きんうえんしょうちゅうげきだん)」もその1つです。同劇団のフェイスブックページには老人ホームなどで上演する様子が掲載されています。

▼「金宇園掌中劇団」フェイスブックページ
https://www.facebook.com/金宇園掌中劇團-295942967235061/

「布袋戯」のテレビ放送

昭和世代の方なら、1982~1984年に日本でテレビ放送された『人形劇 三国志』をきっとご記憶のことでしょう。この人形劇を見て『三国志』ファンになったという方もきっと多いはず。台湾ではそれより前の1958年に「布袋戯」の映画が作られ、1970年代には人形が武侠(ぶきょう)物語を演じるテレビ番組が作られ始めました。人形の形状は伝統的な小ぶりのものから、やや大ぶりのはっきりした顔立ちのものに変わっていきました。そのほうがテレビ映りが良いからでしょう。

黄俊雄(ホァン・ジュンション)氏が製作した『雲州大儒侠(うんしゅうたいじゅきょう)』という番組は当時の台湾で大ヒットしたそうです。興味のある方は動画サイトで『雲州大儒侠』を検索してみてください。ワイヤーアクションばりに人形たちが動き回って、派手な立ち回りを見せてくれます。

布袋戯のコミカルな人形
先ほどの伝統的な人形に比べてやや大きく表情もはっきり分かります

武侠物語というのは義侠心を重んじる武術に長けた人々が登場する物語のジャンルで、古代から清代くらいまでの中国を舞台に、小説や映画やテレビドラマが数多く作られ、中華圏で人気を博しています。例えば2000年の映画『グリーン・デスティニー』は武侠映画の代表的な作品です。

「霹靂布袋戯」シリーズの登場

テレビ版「布袋戯」である『雲州大儒侠』を製作した黄俊雄氏の息子たちによって生み出されたのが、1980年代に登場した「霹靂(ピーリー)布袋戯」シリーズ。「霹靂」とは雷のことです。こちらも動画サイトで映像を検索してみると、剣から雷のような閃光を出して人形同士が戦っています。「人形が焦げないのかな?」と思うほど爆薬も多用されています。人形も大きくなり(1メートルほどあります)、顔立ちや衣装もスタイリッシュに変わっています。特撮技術やファンタジーアニメの世界観を融合させた、新たなエンターテイメントとでも呼ぶべき映像作品に仕上がっています。

「霹靂布袋戯」シリーズは現在まで続くヒット作となり、これまでに70作品以上が作られ、台湾のケーブルテレビに「霹靂台湾台」という専用チャンネルも持つほどの人気なのだとか。近年はゲーム業界など異業種とのコラボレーションも盛んで、人形はもちろん、さまざまな関連商品も販売されているそうです。

▼「霹靂国際多媒体」公式サイト
http://pili.com.tw/

布袋戯のイケメン人形
こちらが現代版の「布袋戯」の人形 …イケメンです!
布袋戯の戦闘シーン
イケメンの人形が剣で悪者(黄色い髪の人形)と戦っています

『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』は日本でも放送されていた!?

こんなに面白い「布袋戯」、日本でももっと見られないかな?…と思ったら、何と!すでに日本でもテレビ放送されていました。「霹靂布袋戯」シリーズを製作する「霹靂国際多媒体」が日本のゲームメーカーであるニトロプラスほかと共同で制作した映像作品『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』(サンダーボルトファンタジー とうりけんゆうき)が2016年に日本で放送されたそうです。

▼『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』公式サイト
http://www.thunderboltfantasy.com/season1/

2017年にはテレビシリーズの前日譚と後日譚を描いた劇場版『Thunderbolt Fantasy 生死一劍(せいしいっけん)』が公開され、2018年には宝塚歌劇団によりミュージカル版『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』が上演されました。2018年にはテレビシリーズの第2弾『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 2』も放送されました。

▼『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』公式サイト
http://www.thunderboltfantasy.com/season2/

もうすぐユナイテッド・シネマ浦和で見られます

そして、劇場版2作目『Thunderbolt Fantasy 西幽玹歌(せいゆうげんか)』が間もなく全国公開されるそうです。近場ですと、ユナイテッド・シネマ浦和で10月25日から上映予定です。

▼『Thunderbolt Fantasy 西幽玹歌』公式サイト
http://www.thunderboltfantasy.com/gaiden2/

布袋戯Thunderbolt Fantasy
こちらが『Thunderbolt Fantasy 西幽玹歌』のフライヤーです

映画『台湾、街かどの人形劇』について

「霹靂布袋戯」シリーズのような新しい「布袋戯」が注目を集める一方、伝統的な「布袋戯」がなくなるのは寂しいという声も多くあります。台湾で製作された『紅盒子(ホンホーヅー)』はそんな思いが詰まった映画です。伝統的「布袋戯」の人形操り師である陳錫煌(チェン・シーホァン)氏を追った10年に及ぶドキュメンタリー作品だそうです。こちらも11月30日より『台湾、街かどの人形劇』という邦題で日本で公開予定です。(この情報は「Let’s go 台湾」に来場されていた「布袋戯」ファンの方に教えていただきました。)

▼映画『台湾、街かどの人形劇』
http://machikado2019.com/

伝統的布袋戯
こちらは 「Let’s go 台湾」で披露された獅子舞の人形劇版 …伝統を感じます

以上、台湾の伝統芸能「布袋戯」について、たっぷり語らせていただきました。皆さんが「布袋戯」や台湾に少しでも興味を持ってくださると幸いです。楽しい取材でした!


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