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東浦和の小さなお花屋さん「ヒビノイロハニ」の1周年を取材しました!

こんにちは。
大宮駅東口でコワーキングスペース7F(ナナエフ)を運営する株式会社コミュニティコムによる地域メディア媒体「大宮経済新聞・浦和経済新聞」のライター・矢島です。

コワーキングスペース7F(ナナエフ)がある大宮から、車で25分ほど走った住宅街の中にあるのが、「ヒビノイロハニ」。ご自宅の前にご夫婦で建てた小さな小さな小屋で1年前にオープンした花屋さんです。

2023年3月20日にオープンから1周年となるこちらのお店を、浦和経済新聞で取材しました。本編記事ではご紹介しきれなかったエピソードなどを「編集後記」としてご紹介します。

浦和経済新聞の記事はこちらです。
東浦和の生花店「ヒビノイロハニ」が1周年 自宅前に夫婦が自作店舗
https://urawa.keizai.biz/headline/809/

自分の店で手にしたのは「自由」

店主の倉田さん

店主の倉田さんは、もともとは保育など社会福祉を勉強していたのだそう。が、学生時代に友人に誘われて足を運んだブーケづくりのワークショップで花に心をロックオンされたのだとか。

「国語・算数・理科・社会・英語といった勉強より、それ以外の科目が大好きなタイプ。だから、体を動かしながら何かを作ったり表現する方が好きだったんです。花はまさに、その点で私の性に合った。方向転換して新卒で花業界に進んで、そこから結婚しても子どもを産んでもずっと続けてきました」。

大手生花店で10年以上のキャリアを積んだのは本編記事でもご紹介した通り。そして次の一歩を踏み出すときを迎えます。

「以前から独立したいとは思いつつ、家賃や物件の改修費など、初期投資はやはり大きな壁。リスクは最小にしたかったし、自分の稼ぎや蓄えの中でやりくりしたい、という意地もありました。ただそれをクリアできるいい方法が見つからなかったんですよね。ところが、あるときふと『敷地内に自分たちで建てればいいじゃないか!』と閃いて。夫に相談したのが2年くらいでしたが、私も夫も『小屋を建てる』なんてやってことがなかったのでしばらく熟成して・・・ようやく形になったのがここです」と倉田さん。

3畳足らずの小屋の中には、花々がひしめく

「ここを出窓にしたら…」「出窓同士をつなぐカウンターを設置したらもっと花がゆったりたくさん置けるかも…」と都度チューニングしながらDIYしていったのだとか。そしてできあがったのが、「美術館のように花を楽しんでもらえる花屋」だといいます。

そんな倉田さん、3人のお子さんのお母さんという顔も持ちます。独立して全部自分で背負い込む大変さはないのか?聞いてみました。

「いや、むしろいいことしかない!圧倒的に自由になりました。前職では店舗ごとに仕入れも任されていましたし、製作・接客・店舗運営など、今の経営や運営に関することをほぼすべてやっていたんですよね。前職と同じ種類のことをしているだけなので、『独立したから大変になった』という意識は全くありません。確定申告はしんどかったですが(笑)」。

さりげなく花を飾れる普段使いの花器も並ぶ

さらに――「ここにくるお客さまはわざわざこの店を目指してきてくださる方ばかり。流れがゆったりで、じっくりお話も伺えます。独立したのはちょうど次男が小学校入学のタイミングでしたが、その変化に戸惑う子どもにもじっくり寄り添うことができた。これが会社員のままだったら、泣いていてもなだめすかして急き立ててやりすごしていたかもしれません。そう思うと、仕事面でも家族に対しても、とても自由になったと感じています」と即答してくれた倉田さん。

責任を一手に追うことはきっと重荷であろう感じていた私の目線を、倉田さんのすっきりした笑顔が華麗にぐるりとひっくり返してくれました。

みんながうれしい、普段使いの花屋でありたい

値段もわかりやすく表示されており安心して花を選ぶことができる

決して広くはない店内には、おしゃれでセンスあふれる花たちが所狭しと並びます。仕入れはご自身の好きなお花中心なんですか?と尋ねてみると――

「どの花同士を組み合わせても素敵に仕上がるラインナップになるようにしています。よくあるじゃないですか、お子さんが『これとこれ!』って選んだのを見たお母さんが、『これはダメ』って止める風景。(笑) 私、あの『ダメ』をなくしたいんです。子どもが好きなのを選びたいのもわかるし、でもおしゃれに飾りたいお母さんの気持ちもよくわかる。だからどれを選んで組み合わせてもかわいくなるように……ということに、実は密かにかなりこだわりを持っています(笑)」とのこと。

そして倉田さんはこうも語ります。

「ご存知かと思いますが、お花屋さんってギフトの方が単価も高いんですよ。だから、売り上げだけ考えたらそっちをメインにしていくという方法もある。けれど、それだけじゃない花の楽しみ方も大切にしたいんですよね。ギフトのためのお花と普段の暮らしに馴染む花ってまた少し違ったりもするので、ハレだけではないケの日にも飾りやすいお花をそろえるということも大切にしていますね」。

店名に込められた「当たり前の生活の中に彩りと香りを」という思いが体現され、店内にひしめく花たち。
倉田さんのそんな思いを知って眺めてみると、軽やかに、そしてこれまでとは違った目線でお花選びを楽しむことができそうです。

「花って、時に贈る側の自己満足になることもある気がするんです。贈られる側にしてみれば、そこにうれしい気持ちはありつつ、家に帰って持て余してしまったりとかね。――私は、贈り手も、贈られた側が家で飾っている時間も、全てうれしかったらいいな、って思ってます。それはきっと、花自身もうれしいはずだから」――そんな風に積み重ねた倉田さんの1年間。これからも次々と小さな物語が紡ぎ出されていくことでしょう。

ぜひみなさんもせわしない日々の合間に。少し足を伸ばして「ヒビノイロハニ」で自分のための一輪を選ぶ時間を楽しんでみてくださいね。


ヒビノイロハニ
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独立してお店を持ったことで子育てにも余裕ができたという倉田さんの働き方、素敵ですね。
コワーキングスペース7F(ナナエフ)で働く主婦スタッフも時間に融通が利くため、子育てと仕事を両立できます。スタッフは随時募集していますのでご興味のある方はぜひこちらをご覧ください!