小冊子の発行を通して、被災地の子どもたちの支援をし続ける、聖学院大学の取り組み
こんにちは。大宮経済新聞ライターのMIEです。
2011年3月11日の東日本大震災からもうすぐ6年が経とうとしています。今回は、被災地の子どもたちやその家族を支援しようと、小冊子を発行してきた上尾市の聖学院大学の取り組みについて、記事ではお伝えできなかった部分をご紹介したいと思います。
聖学院大学の小冊子「子どもの心にそっと寄り添う」についての記事はこちらをどうぞ
支援の一つの形として、小冊子の発行を
この小冊子は、被災地の子どもをケアし復興を支援するために、聖学院大学の人間福祉学部こども心理学科が無償で発行しているものです。震災の翌年2012年2月に第1集が発行され、以後毎年、中身を新たに編集しなおして発行し、今回で6冊目になります。
また、2016年の4月に起きた熊本地震後には、第1集の内容を編集し直して、翌月には熊本地震特別編集版として新たに小冊子を発行しています。
小冊子の内容は、被災地の子どものケアをどのようにしたらよいのかというアドバイスやメッセージ、支援団体の取組みの紹介、読者の声、ボランティアに関わった聖学院大学の学生の報告、絵本の紹介などから構成されています。小冊子の発行と共に、子どもたちの成長とともに今後の課題が見え、それについてどう歩んでいったらいいのか、さまざまな視点からまとめられています。
被災者と支援者どちらにも役立つ情報
取材を通し、この小冊子を読み進めていくなかで、この小冊子が「子どもの心にそっと寄り添う」というタイトルどおり、被災地の子どもたちに “そっと寄り添う”ことがいかに大切かということをひしひしと感じました。小冊子には決して、「積極的にボランティアをしましょう」ということが書かれているわけではなく、記事を通して被災地の現状や想いを知ることができ、さらに被災地へのさらなる支援の必要性を感じ取ることができます。そして、自分にも何かできることはないか、思いをめぐらすことができます。小冊子の巻末には、被災者と支援者の双方に役立つ情報が載っており、思いを実行に移す手助けをしてくれます。
それぞれができる形での支援を
同大学人間福祉学部こども心理学科は、「震災で心に傷を負った子どもたちをケアができるような学科を作りたい」という思いから、震災からわずか一年後に新設された学科です。そして復興支援のボランティアチームでは、たくさんの学生が積極的に関わっています。
今回の取材で、被災地である親子に関わった学生の卒業式には、その親子も遠路足を運んだ、というエピソードを聞き、震災でたくさんの大切なものを失ってしまったけれど、人との絆や人の温かさを再認識できたことはこの震災で得られた貴重な経験の一つなのでは、と改めて感じました。
この小冊子の発行に関わっていらっしゃる担当者の「支援の手が被災地の人にとってまだまだ必要」という言葉がとても心に残っています。3月11日がもうすぐめぐってきます。震災で亡くなられた方々に思いをはせ、そして今を頑張って生きている方々への支援を、それぞれができる形ではじめてみませんか。
小冊子について、詳しくは聖学院大学のページをご覧ください。