重要 2024年1月4日以降のドロップインのご利用につきまして

コワーキングスペースの運営を2年間やってみて、コワーキングスペースの入退出管理方法や、コワーキングスペースでアルバイトスタッフを雇う時に考えること色々。

こんにちは。コワーキングスペース7Fの星野邦敏です。

このブログ記事は、
コワーキング Advent Calendar 2014 – Adventar
の初日の記事として、書いています。

「コワーキング Advent Calendar」とは、コワーキングに関すること、コワーキングスペースに関すること、などをテーマとして、12月1日から25日までブログをリレーで繋ぐというイベントです。

私も昨年に「コワーキングスペースの運営を1年間それなりに本気でやってみて思ったこと色々。」というブログ記事で「コワーキング Advent Calendar」に参加させていただきました。

毎年、松田顕さんがイベントを立ててくださっていましたが、今年はご多忙ということで、今年だけ星野が引き継ぎ、企画・呼び掛けとなりました。
昨年までの「コワーキング Advent Calendar」は、
2010年のアドベントカレンダー
http://atnd.org/events/10728
2011年のアドベントカレンダー
http://atnd.org/events/22266
2012年のアドベントカレンダー
http://everevo.com/event/3019
2013年のアドベントカレンダー
http://www.adventar.org/calendars/174
となります。

2014年の呼び掛け人ということで、今年は、私、星野邦敏が、トップバッターを務めさせていただきました。

さて、どのような題材が良いかなと考えてみたのですが、今日、12月1日は、埼玉県さいたま市の大宮駅東口徒歩1分の場所で、コワーキングスペース7Fをオープンして、ちょうど2周年となります。

私達がコワーキングスペースという業態を埼玉県さいたま市では初めて運営したという認識ですので、この地域で、実際にオープンしてみて利用者が来るかどうか、未知数なところもありましたが、運営する前も試行錯誤、運営後も試行錯誤しつつ、おかげさまで、今では、大宮駅東口徒歩1分という立地と65坪という広さにおいて、月間延べ利用者数2000人を超え、月額会員さんも80人を超え、スタッフも私を含めて16人(コワーキングスペース7Fスタッフ紹介)という体制になりました。

もともとITで起業していて、空間運営はコワーキングスペースで初めて行いましたが、コワーキングスペース運営は第2の起業だと思って、この2年間、取り組んできました。
結果、オープン当初は私が1人で運営していて、ずっと受付にいましたが、今はコワーキングスペース側に正社員の店長も入り、スタッフも増え、私が受付業務に入ることが無くなり、コワーキングスペースのオーナーとしての業務と、もともとの本業のIT業務に戻りました。

そこで、今回は、コワーキングスペースの運営を2年間、実際に自分で取り組んで、実際の自分の経験を踏まえて、コワーキングスペースの入退出管理方法や、コワーキングスペースでアルバイトスタッフを雇う時に考えること色々を、書いてみたいと思います。

コワーキングスペースの入退出管理方法

私は、IT事業を法人化して7年、個人事業主の頃から含めると9年、コワーキングスペースの運営を2年、それぞれ実際に代表者として取り組んできて、ITと空間運営で、大きく異なる点はいくつかあると感じていますが、そのうちの1つとして「空間運営はリアルにお店を開け続ける必要がある」ということが想像以上に大変でした。飲食店などの経験者だと当たり前なのかもしれませんが、この点、経験が無くコワーキングスペースを始める人は気に留めておいた方が良いと思います。

「空間運営はリアルにお店を開け続ける必要がある」という点をクリアするには、私は、実際に2年間自分でコワーキングスペースを運営して、また、閉店したコワーキングスペースも含めたら、全国約100箇所のコワーキングスペースに実際に行って、かつ、その運営者と話をしてきて、コワーキングスペースの入退出管理方法は、大きく以下の3通りの方法に分かれると思いました。
(1)人を配置する
(2)FeliCaカードや指紋認証などで管理する
(3)時間帯や曜日により、コアタイムは人を配置して、それ以外の時間帯はFeliCaカードや指紋認証などで管理する

この3通りです。

私達は、このうちで、(1)の運用を採用していて、年中無休で朝7時から夜23時まで、1日16時間毎日、有人でスタッフが常駐している、という体制です。

この点、コワーキングスペースは、やはり人と人を繋ぐハブになる人は必要で、それを運営側が誰も居ない、となると、なかなか創発的なことは起きづらいと思います。
したがって、(2)の運営でも、一定時間はコワーキングスペース内にスタッフ側の人がいる、または、イベントの時はスタッフ側の人がいる、という形で、利用者さん同士のコミュニケーションを円滑化している場所が多いと思います。

どの入退出管理方法を採用するかは途中からも変えられますが、もしスタッフ側が無人の時間帯も利用できる仕組みを作るならば、セキュリティ面など、初めの空間の内装設計にも関わるので、内装工事前に考えておいた方が良いと思います。

コワーキングスペース7Fが、(1)の方法を採用している理由については、実は、そこまで深い理由はありません。コワーキングスペースのオープン前は、私が空間運営が素人だったので深く検討しなかったからです。また、今でこそ、知識や経験があり、人脈としても色々な業者と繋がりもあり、FeliCaカードでの入退出管理や、指紋認証での入退出管理の方法にも、それぞれどのような業者があってどれくらいの費用が掛かるのか把握できていますが、当初はそのようなルートも無かった、ということもあります。

そこで、まず、自分でも実際に運営をして2年、他のコワーキングスペースについても閉店した場所も含めて全国約100カ所に実際に行って実際に各コワーキングスペースの運営者ともコミュニケーションを取ってみて、私の考えるそれぞれのメリット・デメリットを挙げてみます。

(1)人を配置する
人を配置するメリットは、常にコワーキングスペースのスタッフ側の人がいる、という安心感が、利用者に与えられる、という点だと思います。常にコミュニケーションが取れる人がいる、というのはコワーキングスペースの趣旨にも合っている印象です。来た時も、帰る時も、挨拶できる人が必ずいる、というのは意外に大切だと思います。
一方で、運営側にとっては、毎月その分の人件費が掛かる、ということになります。コワーキングスペース7Fでは、時間帯により、時給900円・1000円・1125円とありますが、これを毎日16時間、正社員もいて社会保険料も支払っていることから考えれば、容易に計算できると思いますが、コワーキングスペース7Fの人件費は、現在その運営だけで毎月70万円近い人件費が掛かっています。これは経営側から考えると賢明な方法ではないとも捉えられるかなと思います。少なくともコワーキングスペース運営を本業として考えていたり、多店舗化展開を考えるのであれば、大資本の会社以外でこの方法を採用するのは得策ではありません。よくこれからコワーキングスペースを開きたいということで、私達7Fに見学に来る方がいますが、私達の方法を見て、同じように全時間帯スタッフ常駐の方法を採用する人は、それにより起きうる人件費の計算や、人が増えることで運営体制も整えないといけないことを考えておいた方が良いと思います。コワーキングスペース7Fにおいて、この方法が採用できているのは、もともと私が1人で運営をスタートさせて、コワーキングスペースとして利益が出たらその利益のほぼ全てを人件費に投下し続けてきて、気が付いたら全時間帯配置になり、正社員も採用できる利益金額になった、ということです。また、私達の本業はIT事業でIT側の売上も利益もあり、コワーキングスペース運営により人との繋がりが増えて、本業のIT事業にもプラスになれば、と考えているからです。さらに、東京で起業をして、生まれ育った地元の埼玉県さいたま市に会社移転して戻ってきて、地元で産業を作って仕事を作り雇用を生み出す、というプラットフォームとなるべく、コワーキングスペースを作ったのに、自分では雇用を生み出さない、というのは自己矛盾すると思った、ということもあります。地域に根付くということを考えていた点も大きな判断としてありまして、それは自分が生まれ育った地域でコワーキングスペースを開いたことが大きく影響しています。生まれ育った地元の埼玉県さいたま市でのコワーキングスペース展開でなければ、このような属人的な展開をしたかどうか分かりません。長い説明になりましたが、人を配置するデメリットは人件費が毎月掛かることです。
私が見てきた全国約100カ所近いコワーキングスペースで、この(1)の方法で上手くやっているなと思う場所は、北九州市の小倉の秘密基地さんと、東京の茅場町のCo-Edo(コエド)さんです。秘密基地さんは、建築を本業としている岡さん兄弟が運営していて、飲食も提供していて、飲食の売上もあり、上手くやっている印象です。私達は水周りが無いので飲食は提供できていませんが、地方都市でコワーキングスペースを行なうなら飲食の提供も一つ考えるところだと思いますが、その点、岡兄弟と話してみても上手くやっている印象です。飲食を提供するとなると、全時間帯スタッフ配置となりますが、その分、飲食の売上が上がります。食事をするということはコミュニケーションも発生しますし、コワーキングスペースというキーワードではあまり人が集まらないとされているような地方都市においては上手いやり方だなと思いました。また、Co-Edoさんは運営代表者の田中さんが年中無休で1人で2年間ずっといて鉄人のように空間を回していて、コワーキングスペースの話をしていても熱くて凄いなと思っています。そのようなCo-Edoさんも先月の2014年11月に同じビル内に増床して2フロアになり、今後は運営体制が変わるのかもしれませんが、もともとIT側で知り合いで、ほぼ同じ時期にコワーキングスペースの運営を始めた、今日本で最も熱くコワーキングスペースの運営について語る男・鉄人コエド田中さんには、こっそり注目しています。

(2)FeliCaカードや指紋認証などで管理する
この方法のメリット・デメリットは、(1)人を配置する、と反対にあると思います。メリットは、毎月の人件費が掛からないことです。今は、FeliCaカードによる入退出管理は設備投資に工事費込みで10万円も掛かりません。指紋認証も初期に50・60万円で設置できると思います。FeliCaカードによる入退出管理は、最近であれば誰しもが持っているであろうSuicaやPASMOなど、全国の交通機関の電子マネーの番号と、その人を紐付ける、という方法です。初めに登録しておけば、あとは入室記録や退出記録まで、サーバーに記録しておくことができます。これら、ランニングコスト掛からず行える製品も出てきているので、凄い時代だなと思います。
一方で、デメリットとしては、コワーキングスペースの利用者同士の交流などをハブになる人がいないで起きる、というのは、なかなかに難しいと思いますので、それをどうするか、という点だと思います。この点は、イベントを行ったりすることで解決している所が多いように思います。
また、この方法を採用している場所の多くは、ドロップインをあまり受け入れず、基本、月額会員で回している所が多い印象です。常にスタッフがいるわけではないし、そのような運用になるのだと思います。
私が見てきた全国約100カ所近いコワーキングスペースで、この(2)の方法で上手くやっているなと思う場所は、大阪のオオサカンスペースさんと、名古屋のタスクールさんです。いずれも今は拡大していて制度も一部変わっていますが、オオサカンスペースさんは指紋認証、タスクールさんはFeliCaカード運用で、月額会員も多く、実際にそれぞれの運営者の大崎さんや渡邉さんと話してみても、コワーキングスペースを本業として成り立っている印象です。

(3)時間帯や曜日により、コアタイムは人を配置して、それ以外の時間帯はFeliCaカードや指紋認証などで管理する
この方法は、(1)と(2)のメリット・デメリットの両方の中間を採れる方法だと思います。
コアタイム、例えば、平日朝10時から18時まではスタッフがいる、他の時間帯は無人で、FeliCaカードや指紋認証で入れる月額会員さんのみが使える、という方法です。
この方法の良い点は、スタッフ側のいる時間帯が対外的にも明らかなので、その運営会社やスタッフに用事のある人はその時間帯に来れば良いし、(2)の方法だとドロップインは受け入れづらいですが、ドロップインも受け入れられるので、不特定多数の人の出入りがあって、常に同じ人ばかりではない交流が生まれるし、月額会員しか利用できない時間帯を設けることで、より作業をしたい人は月額会員になろうとするインセンティブが働くので、運営側としても固定の安定した売上が増える可能性がある、という点です。
私が見てきた全国約100カ所近いコワーキングスペースで、この(3)の方法で上手くやっているなと思う場所は、渋谷のConnecting The Dotsさんです。先月の2014年11月に、今までの6階だけでなく4階も増床したということで、運営者の北川さんの本業は建築士ですが、北川さんと話してみても、本業にも結び付けていて、上手くやっているなという印象です。

このように、コワーキングスペースの入退出管理方法は、場所により様々です。

まとめますと、私の個人的な意見ではありますが、
本業との親和性、特にITや地域の活性化などを本業としている人でコワーキングスペースとの親和性も図るのであれば、(1)のように人がいる体制は良いかもしれません。また、飲食をコワーキングスペース内で提供する場合には、結果的に人を配置する体制になると思います。
(2)の方法では、月額会員中心の空間として考え、その中で上手く交流の仕組みを整え、かつ、情報発信もできる体制が作れるのであれば、経営側視点で考えると、この方法が一番コストが掛からないと思います。
(3)の運営も良いと思います。私も、今くらいの知識や経験や人脈があり、今のインプット量があることを前提として、もし今、本業をコワーキングスペース運営として考えるならば、この(3)の入退出管理方法を採用して、コワーキングスペースに、サービスオフィス的な要素も追加した運営体制にしていたかもしれませんし、また、今後、もし私が増床や多店舗化、また最近依頼のある他のコワーキングスペースへのコンサルティングサービス等を考えるタイミングでは、この方法も検討すると思います。

コワーキングスペースでアルバイトスタッフを雇う時に考えること色々

さて、ここまで入退出管理方法について、長く書いてきましたが、次に、(1)の方法を採用したコワーキングスペースとして、1カ所の運営にスタッフが16人もいるコワーキングスペース(コワーキングスペース7Fスタッフ紹介)というのは、おそらくは日本でも最多数かなと思いますので(もし私達より1カ所のコワーキングスペース運営でスタッフ数が多い所がありましたらすみません!その場合はご指摘ください。)、この運用について書きたいと思います。

まず、16人の構成としては、
代表者の私星野と、ITの制作側スタッフの吉田、コワーキングスペース7F店長の山下、この3人がコワーキングスペース7F運営側の正社員、
アルバイトスタッフ11人、ボランティアスタッフが2人の、合計16人となります。

ボランティアスタッフというのは、私達としては、お金を支払っても良いと思ったのですが、フリーランスとして生計が成り立っていて、かつ、コワーキングスペースという空間が楽しかったりフリーランスとしての本業に繋がる人脈ができたり将来自分でも運営を検討している、という人達で、時給900円・1000円という時給をお支払いするよりは、その人達のWebサイトを作ってあげたり、運営の裏側をスタッフ側からお見せする方がメリットになると考えてくださっているようで、ボランティアという形になっています。また、フリーランスとしての本業が忙しいということもあり、繁忙期には受付に入れる頻度がとても少ないということもありまして、通常業務としての受付スタッフというよりは、私達としてもそのフリーランスとしての本業をコワーキングスペース7Fに取り込ませてもらっている、という点もあります。
例えば、フリーランスのウェディングプランナーのチホさんというスタッフがいるのですが、チホさんは結婚式場やホテルでの業務経験があるので、今のスタッフにマナー研修などを担当してもらっていたりして、関わってもらっています。

まず、一番初めに考えることとしては、スタッフとしてどのような人を採用するか、という点です。
誤解を恐れずに言えば、採用する人さえしっかり選んで間違えなければ、あとは自然に回ると思います。コワーキングスペースの業務は、アルバイトとして見た時に、他のアルバイトに比べて、決められた業務が少ないとも捉えられます。この時に、ちゃんと動いてくれるスタッフを採用する、というのは非常に大切です。
オープン当初から約2年間アルバイトの大学生スタッフとして関わってくれているカナエちゃんが「大学生にコワーキングスペースでのアルバイトをオススメする3つの理由」というブログ記事を書いてくれました。こちらはアルバイトスタッフ側の意見として生の声ですので参考になると思います。

私達コワーキングスペース7Fは、先々月の2014年10月に、6人追加で採用しましたが、25人近い応募の中、全員と1人2時間近い面接や、その他にも色々と検討して、私と店長の山下は、採用活動をした9月にはそれぞれ80時間以上の時間を使い、あらゆる検討をして6人を選びました。

ただ、そもそもスタッフを募集したとして、スタッフとして応募してくれる応募者の数をどのように増やすのか、また、応募してくれた人の中からどうスタッフを選ぶのか、これは非常に大切なことになるかと思います。

まず、コワーキングスペース7Fでは、約2年の運営により、それなりに知名度が上がってきたのか、一度、スタッフ募集をすると、競争倍率5倍になるくらい、応募があります。
今回はFacebook広告も使いましてこちらも一定の効果がありましたが(Facebook広告を使って、コワーキングスペースのアルバイトスタッフ募集の求人広告を出してみました。)、何より「7F」自体の知名度や、7Fでアルバイトしたスタッフの実績が今はあることが応募に繋がっています。
コワーキングスペース7F 大学生アルバイトスタッフ 相澤奏恵さん | コワーキングスペース7F
コワーキングスペース7F 大学生アルバイトスタッフ 新木優花さん | コワーキングスペース7F
その上で、コワーキングスペース7Fで働くと大学生にとってどういうメリットがあるのか、ということをスタッフ募集に詳細に書きました。
コワーキングスペース7F アルバイトスタッフ募集 | コワーキングスペース7F

このスタッフ募集ページが1万文字以上あり、これを読むという敷居があるのと、今はスタッフ募集をしていないのでクローズしていますが、メールフォームの入力項目も一定以上あるので、おそらくはまず応募するという点に敷居を設けていて、この敷居をクリアしている人とだけ面接で会うようにしています。

面接も、FacebookやTwitterのアカウント、ブログを書いている人はブログのURLなどを聞いて、事前に確認した上で、面接時には履歴書を書いてきてもらって、面接は1人約2時間話すようにして、その上で採用者を決めています。

この時に大切にしていることは、自己矛盾のある人は、もし優秀なように見えても絶対に採用しない、という点です。
例えば、年末年始やお盆休みにスタッフとして入れるか?と聞いて、私達は繁忙期ではないので、入れなくても良いのですが、この時に入れると答えたとして、約2時間の話の中で、実家が遠方ということが分かり、別の話の中で、家族は仲良くて親を尊敬しています的な話をし始めたとして、すると、あれ?だったら年末年始やお盆休みには実家に帰らないの?という形になり、理由があれば良いのですが、少し良く見せようとしているなと感じることもあります。
また、大学生の場合、今はコミュニケーションツールがLINEやTwitterが中心で、Facebookをやっていない人もいると思います。その場合、採用されたらアカウントを作って勉強しようと思っています、という人は、私の経験上、その後もほとんど作りませんし、仮に作ったとしても更新はしません。なぜなら、メールアドレスさえあれば無料で作れるアカウントですので、本当に興味があれば、やり取りの中で、面接までにアカウントを作ってくるからです。Facebookのアカウントを持っていないし、今後も作る予定は無い、あれって、何か意味があるんですか?と表裏なく言ってきてくれた方が、その人を7Fとして採用するかどうかはともかく、個人的には矛盾点が無く、スッキリします。

その他にも、コワーキングスペースの業務は、通常業務が他の一般的なアルバイトに比べたら少ないと思います。私達のコワーキングスペース7Fは、1日70~80人が来ますが、コワーキングスペースとしては1日の利用者数が多い方だと思いますが、それでも冷静に考えれば、1日16時間開けていてこの人数ですので、飲食店やコンビニに比べたら対応する人の人数は何十分の一くらいだと思いますので、人によっては暇なアルバイトと捉えてしまうかもしれません。この時に、フリーランスや起業をしている人や地域で活動している人と、自分からスタッフという立場から交流をしたり、業務としても自主的に動いてくれるとなると、将来自分のやりたいことが明確でその方向性とコワーキングスペースが親和性がある人か、まったく逆で、将来自分がやりたいことが全く決まっていなくてもうすぐ就職活動も控えていたりで危機感がある人か、どちらかが良いかなと思います。
少なくとも、今まで飲食店でアルバイトをしていてちょっと飽きてきたので別の業種を探していて本屋や法律事務所や会計事務所などのアルバイトかなと思っていたら偶然コワーキングスペースという聞いたことも無い業種のアルバイト募集を見つけたので応募しましたという人と、1年後に就職活動を控えていて周りの友達を見ると今の自分はゼミもサークルもやっていないし焦っていた所に偶然コワーキングスペースという聞いたことも無い業種のアルバイト募集を見つけたので応募しましたという人だと、もちろんこれだけで判断することはありませんが、一般的には後者の人の方が動きが良いことが多いです。
大学生にコワーキングスペースでのアルバイトをオススメする3つの理由
コワーキングスペース7F 大学生アルバイトスタッフ 相澤奏恵さん | コワーキングスペース7F
のカナエちゃんは、後者のタイプでしたが、この点合っていたのか、その後自分の希望の業種を見つけて、希望通りの大手企業に就職が決まり、来年3月には大学卒業で、7Fスタッフも卒業となります。

また、コワーキングスペースの成長過程でも採用する人が変わると思います。
例えば、利用者も少なく、運営体制としても何も無い、という時期は、事務作業などが稚拙だったとしても、イベントを自分で開くことができるような積極的で社交的な人が、良いと思います。いわゆるゼロからイチを作れる人です。このような人は、大学生でも意外にいます。例えばですが、複数の大学を横断するような学生団体で活動していたりする人の中には該当する人が多いかもしれません。とにかくも、ゼロベースの時に、ゼロをイチにできる人が誰もいないと、明言しますが、間違いなくそのコワーキングスペースは潰れます。その役割は通常は運営代表者が負いますが、自分で出来なくても誰か出来る人がいれば解決します。
一方で、例えば、利用者も増えてきて、運営体制も整ってきた段階では、空間の箱以上の人は入りませんので、増床する以外では空間を整えるフェーズに入ると思います。この時には大規模なイベントやワッと人を呼ぶ動きの必要性は少なくなってきます。このフェーズでは事務作業もちゃんと行えて、その上で社交的だったり好奇心旺盛だったりする人が、良いと思います。いわゆる1を3にしたり5にしたりできる人です。

次に、普段のコワーキングスペースの運営体制として、コワーキングスペース7Fでは、受付スタッフは基本1人で対応して、コワーキングスペースエリアや、スタッフのバックヤードに、店長やIT側の制作スタッフがいる、という体制を採っていて、基本的にはコワーキングスペース内にスタッフが1人だけということは、ほとんど無いようにしています。

これだけのスタッフがいると、まず大変になるのが、日々行われていることの情報共有の方法と、月額会員さんを始めとした利用者さん情報を把握する方法となります。
1人で運営している場合は利用者の情報や日々行われていることは自然と把握しているはずで情報共有の必要が無く困ることはないと思いますが、スタッフが増えてきて、それぞれが週1日・週2日しか入らないスタッフが利用者さんの顔や名前や特技や職業や7Fに来ている目的などを把握したり、昨日や一昨日にどういうことがあったか等を把握するなどの、情報共有は意外に大変だと思います。
また、スタッフが増えてくると、スタッフ同士もシフトが重ならないと交流が無くなり、働いている場所に対する帰属意識が下がり、これはモチベーションに関わると思います。

このようなことを解決するために、コワーキングスペース7Fでは、まず、普段の情報共有のためのITのツールとして、
・サイボウズLIVE
・Googleドライブ
・Facebookの秘密のグループ
の3つを使っています。

サイボウズLIVEは、業務の日報やToDoリストの進捗管理として使っています。このToDoを上手く使って、意外に多いコワーキングスペースの業務をタスク細分化をして、それぞれのスタッフの特技ややりたいことに合わせて、担当者を振り分けています。日報は見たらいいね!を付けることで誰が見ていないのか把握できる運用にしています。ただし、週1日・週2日しか入らないスタッフに毎日の日報を全て見てもらうというのは酷だしそれだけでスタッフとしての仕事の時間が終わってしまうので、行われていることをなんとなく把握してもらって、どうしても見てもらいたい情報は別に書いています。基本的には店長や代表者が状況や情報を把握するためという位置付けが大きく、それにより方向性やToDoを決めていく、という形です。
Googleドライブは、スタッフのマニュアルや月額会員さん情報などをまとめています。
Facebookの秘密のグループは、基本的にあまり使わないのですが、緊急のことがあったり、どうしても全員に見てもらいたい情報がある場合に投稿したり、よりフランクな事柄を書いたり、という運用にしています。もともとはFacebookの秘密のグループのみで運用していたので、その名残りで残っているという意味もあります。

このようにITツールを駆使して情報共有に努めるようになったのは、2014年4月から子育て中のお母さんスタッフも2人採用していまして、短時間勤務の人が増えたことで、より情報共有をしっかりしないとと意識するようになったからです。この点、一度社会人として働いていて、かつ、今は子育てをしつつ子どもが大きくなったら社会復帰を考えているような子育て中のお母さんスタッフを入れたのは、組織的に運用せざるを得なくなるので、初めの何も無い時のスタッフとしては厳しいですが、ある程度安定してからだと、そのような方々にスタッフとして加わっていただいた方が、組織としては回るようになり、良かったと思います。
子育て中のお母さんは、とても高いスキルや経験を持っている人も中にはいるのに、子育て等もあり家庭にいる人も多く、本人としても社会にまだ復帰したいと考えている人もいて、その辺りのマッチングができていないとしたら、それは勿体無いなと思うことがあります。経営側としても、本来はこのような時給では働いてもらえないけれど、今は子育て中ということもあって、関わってもらえる、ということもあり、お母さん方の働きやすいように環境を整えることができれば、より強い組織になるのではないかと考えています。

その他に、コワーキングスペース7Fでは、リアルの交流としてスタッフと利用者さんとの交流会も行っていますが、それ以外にもスタッフ同士の交流会を毎月1回、コワーキングスペース7Fの費用負担で、任意参加で参加できるスタッフだけで食事会をしています。子育て中のお母さんもいるので、奇数月は夕食、偶数月は昼食、を一緒に食べる、という形です。コワーキングスペース7Fは大学生のアルバイトスタッフも多く、シフトの関係で同世代でも全く会うことが無く、日々ITで連絡を取り合うだけだと、例えば、何かの関係で休みたい時に、誰かに変わってもらいたい等あった時に、繋がっていないと頼みづらかったり、そもそもコミュニケーションを取ることで帰属意識が高まってくれたら良いなという想いもあります。その他にも、普段は言いづらい意見や要望等もおそらくあると思うので、そういうことを食事を一緒にすること等を通じて遠慮なく言ってもらって職場としてのコワーキングスペース7Fを改善していける雰囲気を作りたいという想いもあります。特に、私は既に受付業務に入っていないので、気が付かないことも多いと思っていて、そういう意見や要望等を聞いていければとは思っています。

また、今は、スタッフとして入ってもらうことになったら、受付対応や電話対応や名刺交換などのマナー研修、WebサイトやSNSでの情報発信の仕方、どのようにしたら検索エンジンで上位表示させることができたり、ソーシャル上で情報拡散できるか、IllustratorやPhotoshopの使い方講座、先輩スタッフの経験談、などを、必須の研修として受けてもらっています。必須の研修として強制しているのでその研修時間の時給ももちろん出しています。初めにこのような研修を用意することで、一定の質を保てるようにすると同時に、それぞれのスタッフの出来ることをある程度一定にして疎外感を出さないようにしつつ、それぞれのスタッフのスキル向上や興味のある分野を見つけたりできるようにしています。
オープン当初のスタッフは、OJTのみでしたが、計算してみると、今のスタッフは1人あたり約10万円の採用コストや研修コストを掛けていることとなります。
その他にも、不定期で、何かしらの研修や勉強会を行っています。任意参加の場合は利用者さん含めたイベントにすることが多く、時給は出していませんが、参加の必要もなく、興味があれば無料で参加できる、という形です。

このようにして、採用するまでの敷居はものすごく高くしていますが、採用したスタッフにはこれだけ考えて選考した結果、採用しているので、採用したスタッフには責任を持って、それぞれのスタッフの方向性にあった活動を、コワーキングスペースという場所で実現してもらいつつ、働いてもらえる環境を整えていければと考えています。

コワーキングスペース7Fの3年目の目標

コワーキングスペース7Fは、良い意味でも悪い意味でも、人もお金も回っている安定した空間になりました。
具体的には、スタッフはしっかりとコワーキングスペースの運営をしてくれていて、私が通常業務に入ることは無くなりました。オープン当初、ワッショイワッショイと盛り上げてゼロから作った時期は過ぎて、毎日落ち着いた運営ができていると思います。また、コワーキングスペースの売上だけで、コワーキングスペースに掛かる経費の全てを出すことができていて、回っている形となります。
今の通常業務ではない代表者としてのオーナー的な業務はまた違った形で大変ですが、通常業務に入っている時ではできないようなインプットやアウトプットをする時間ができたと思いますし、それをしていきたいと思います。具体的には、IT側で自社サービスを増やしたり、コワーキングスペース側ではよりサービスオフィス的な機能を強めていくことになるかなと思います。
また、本業をITとしてこのまま1フロアでコワーキングスペース運営は7Fだけでお終いにするのか、同一地域で増床してシェアオフィス的なことも始めるのか、コワーキングスペースというサービス自体をパッケージ化して他の地域にも展開していくのか、最近依頼も多い他の上手くいっていないと言うコワーキングスペースやこれから立ち上げると言うコワーキングスペースのコンサルティング業務も行なうのか、そういう判断を今はしていないのですが、この2年間、実際に自分で運営して、実際に自分で運営したことで得た知識と経験と人脈があるので、この点、3年目のいずれかのタイミングで判断することになると感じています。

コワーキングスペース業界の今後の予測

コワーキングスペース業界は、第1世代、第2世代、第3世代、とあると思います。
これは、私やコエド田中さんが感覚として話しているだけで、そういう理論があるわけではありませんが、流れとしては当てはまっていると思います。

第1世代(2010年~2012年)
日本でコワーキングスペースと初めて名乗ったのは、神戸の伊藤さんが作ったカフーツさんで、2010年5月にオープンしています。関東でコワーキングスペースと初めて名乗ったのは、佐谷さんが作ったPAX Coworkingさんで、2010年8月にオープンしています。
その次は、2010年12月に大阪の十三でJUSO Coworkingさんができ、これは持ちビルの活用としてビルオーナーの深沢さんが始めています。2011年3月には東京の下北沢で下北沢オープンソースCafeさんができ、これは河村さんの実家の空いていた車庫を改装して始めています。
これら、2010年~2012年に掛けての第1世代は、自分のオフィスの一画、自分の飲食店の一画、自分の持ちビルや自社の空きスペースの活用などが多かったのではないかと思います。広さも40坪以下のコワーキングスペースが多かったように思います。

第2世代(2012年~2013年)
次に、コワーキングスペースを開くためにわざわざ物件を借りて、オープンなエリアを提供するコワーキングスペースが増えました。また、会社のオフィスもコワーキングスペースと同じフロアにはありますが、コワーキングスペース側のエリアを大きく取り、そちらでの採算も考える空間も増えてきたと思います。
私達のコワーキングスペース7Fもこれに該当するかと思います。この頃になると、広さも40坪から100坪くらいのコワーキングスペースが主要になってきた印象です。私達のコワーキングスペース7Fの広さはトイレなど共用部分を含めずに利用面積は65坪となります。

第3世代(2013年~)
オープンスペースとシェアオフィスの一体型の空間として、コワーキングスペースエリアだけでなく、個室プランも用意したシェアオフィスもあるという広さも100坪以上の大型コワーキングスペース&シェアオフィスが増えてきました。例えば、高田馬場のCASE Shinjukuさん、上野のいいオフィスさんなどが、これに該当すると思います。
また、大手不動産会社や鉄道会社や大手商社が関わっているようなコワーキングスペースも出てきました。最近では、大手カラオケ店のパセラさんが始めたパセラのコワークというコワーキングスペースもできました。このように、コワーキングスペースは大型化が進んでおり、それだけ大資本の進出も増えてきていると思います。
このような中、一方で、小規模にまた違った形で何かの属性に特化する等、差別化を図っているコワーキングスペースも増えてきたと思います。
また、最近では、官公庁や地方自治体も「コワーキングスペース」というキーワードを使うようになり、私達7Fにも視察や見学も増えてきました。

「コワーキングスペース」というキーワードが日本でも言われるようになってきて4・5年が経ち、黎明期や導入期から成長期に入ってきたのかなと思います。

この点、増床や多店舗化展開をするコワーキングスペースも出てきた一方で、閉店するコワーキングスペースも出てきました。私は自分がコワーキングスペースを開く前に、北は北海道から南は鹿児島県まで全国約30カ所のコワーキングスペースを見学して運営者の話も聞いてきましたが、そのうちの10カ所以上が既に閉店していて、大半は利用者が少なく採算が合わなかったから撤退したと聞いています。
このように、コワーキングスペースも流行っている場所とそうでない場所と、二極化が進んでいる印象です。

そういう点では、業界としては成長期に入っていて健全な業界になっているのかもしれませんが、より考えて運営をする必要性を感じています。

最後に

昨年の「コワーキング Advent Calendar」で書いたブログ記事「コワーキングスペースの運営を1年間それなりに本気でやってみて思ったこと色々。」の「最後に」でも書きましたが、IT関係のオースンソースCMSで、WordPressというツールがあり(このコワーキングスペース7FのWebサイトもWordPressで作っています)、私は、このツールが日本で全く流行っていなかった2008年頃から関わっていたこともあり、それから6年が経ち、2014年の今では日本でのCMS業界のシェアでWordPressが86%というデータもあるくらい、CMSの中では日本一のシェアのツールになっていて、これにより良いことも多くありました。
具体的には、書籍の執筆も多くあり(Amazon.co.jp: 星野 邦敏:作品一覧、著者略歴)、講演で呼ばれることや、仕事の依頼も非常に多くあります。私レベルの技術者は実は日本には多くいると思いますが、この分野でたまたま良いタイミングで始めて、情報発信も多かったので、思い出してもらえる回数も多く、今のポジションがあるのだと思います。
コワーキングスペースの運営者同士の話や、コワーキングスペースというキーワードを官公庁や大手企業も使い始めていることを考えると、当時のWordPressの黎明期や導入期に近い感じを受けていまして、その点では、2012年に、コワーキングスペース運営者として業界に関わるようになり、タイミングとしては良かったと思っています。
世の中、タイミングが大切で、このタイミングを見つけるためには、多くのインプットをして、そのタイミングを見つけて柔軟に動けてその瞬間に自分のリソースの多くを割けることが大切だと、改めて感じています。
次に何かを始めるときにも、この点を意識していきたいなと思っています。

と、書き続けてみたら、1万6千文字を超えてしまいました(汗。ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。
このブログ記事は、コワーキング Advent Calendar 2014 – Adventarの記事ですので、まずは公開しますが、あとで写真を入れたり分かりやすい文章に変えたりするかもです。

ということで、明日、12月2日の大阪の中津にあるコワーキングスペース「コモンルーム中津」の寺西さんです。
コモンルーム中津さんも今月から増床するとのこと。寺西さん、よろしくお願いします!

2015年3月24日追加
コワーキングスペースの運営をフランチャイズ展開することになりました。まずはフランチャイズ1号店が福島県郡山市に2015年5月にオープンします。今後は全国展開していく予定です。今後ともよろしくお願い致します。
コワーキングスペースの運営をフランチャイズ展開することになりまして、コワーキングスペースのフランチャイズ1号店を福島県郡山市の郡山駅近くに作ることになりました。 | コワーキングスペース7F